【特別編】顧客満足度の高い企業に学ぶ
食と癒しのユートピア
顧客満足度の高い企業に学ぶため埼玉県日高市にあるサイボクハムに行ってきました。豚肉を中心にハム・ソーセージなど本物のおいしさを追及している会社です。ご存知の方も多いと思います。この会社がある場所は「食と癒しのユートピア」という名のテーマパークになっていて数々の学びが溢れています。
ここはとても不便な場所です。普通のスーパーであれば絶対行かない場所ではないでしょうか。ちなみに東京の中央区からだと有楽町線→東武線に乗り継ぎ、約1時間10分、鶴ヶ島という駅からバスで25分。(車で行く方が圧倒的に多いと思います)買い物とか食べるためだけに行くと考えると相当遠いと思いますが、またきっと行きたくなると思います。行きたいと思わせる楽しさがあるからです。そして気持ちが優しくなれます。
パーク内にはBBQや洋食など本来の肉の味を楽しむレストラン、テラスで楽しむ売店、肉米野菜フルーツお茶などを売るスーパーのほかアスレチック、18Hのパークゴルフ、広大な広場、陶芸教室、日帰り温泉施設などが本社工場を取り囲んでいます。その本社の前には蓄魂碑があります。食材への感謝を表した石碑は初心を忘れないためにあります。毎日換えているでしょう、綺麗な花が供えられていました。それだけで会社の姿勢が伝わります。
一般的にはよくサービスとホスピタリティの違いについて語られます。簡単にいうとサービスはマニュアルに沿った仕事、御客様全体に対して平等な作業であり、客側からすれば想定内の行動のことでもあります。それに対してホスピタリティはマニュアルには表せない「心」のことであり、客側の予想を上回るサプライズであり、個々に対する心配りともいえます。このテーマパークには地味にこうしたホスピタリティがあります。地味にというのは企業体質が決して派手でない、ということもありますが、感謝の経営をまい進しているうちに培われた謙虚な文化みたいなものではないかと思います。
さて、テラスのひとつの売店でメンチカツや肉まんを売っていました。どちらも美味しそうだったので「どっちがお勧めですか?」と聞いたところ、すかさず「肉まんです!挽いたばかりのお肉でたった今、出来上がりました!おススメです!」このスピード感と歯切れよさ。これですね。どっちが美味しいかはこの場合、さほど重要ではありません。そもそも値段も味も違うのですからも比較など意味がないかもしれません。それでも「こっちです!」と笑顔ですぐに応えるスピード感と自信が心地よいのです。こうしたささやかな喜びに満ちています。
メニューが多い飲食店などでよくある会話・・「何がおススメですか?」→「ウチは全部おススメだよ」。これは・・「ウチには特徴がありません」「適当に作っています」といっているようなものではないでしょうか。客としては店の商品へのこだわりや自信を体感・共有したいのだと思います。
また今ではいろんなスーパーでも見られるようになった提案売り・・例えば豚肉のスライスのコーナーにはしゃぶしゃぶのドレッシングを一緒に並べるアレですね。この商品にはこういう食べ方がおススメ、その場合、合わせるものはこれとこれ、という調理法の提案は余計な智恵を持ち出さなくてよい快適さがあります。その場でイメージできること、これはとても重要です。この発想は他の業種でも参考になることが多いと思います。
そして連鎖を想像させる豊かさがあります。豚肉、ひき肉、ソーセージ、ハムという流れはもちろんのこと、肉→野菜→ドレッシング→パン→米→お茶→堆肥等の本物へのこだわり、地域密着→地元の食材→産直の他、レストラン→楽しい→遊び場所→憩い→温泉→癒し→豊か→文化という広がり、家畜への感謝=御客様への感謝→心配り→優しさ等、こうした連鎖していく流れがいくつも交差していて楽しさとともに心が豊かになれるのだと思います。
パーク内のさほど目立たない場所に大きな石がありました。その巨石の隙間から根を張り茎を伸ばした雑草があります。そこにはこんなメッセージが貼られていました。「石の上に根をはって3年。1度切られたけど復活しました。やさしく見守ってね。」誰も気づかないかもしれないような場所の小さなメッセージ、でもしっかりこの企業の心根、やさしさを感じられます。他にも注意してみていくと様々な気づき、学びがあるテーマパーク、特別編としてお伝えさせて頂きました。御客様に愛され続ける企業には明確に理由があるということですね。
サイボクハム http://www.saiboku.co.jp/
上記の記事は弊社の根幹となる哲学「喜びの帝王学」を基にしています。