【特別編】だから人気がある!USJを抜く人気のふなばしアンデルセン公園に学ぶ
アンデルセン公園
テーマパーク人気ランキングでTDL.TDSにつぐ人気、USJよりも上にランクされている「ふなばしアンデルセン公園」(世界最大級旅行口コミサイト トリップアドバイザー公表)を視察してきました。なぜ市の管理運営するローカルな?公園がUSJよりも上位とされているのか、以前より気になっていました。
公園の命名とコンセプトは船橋市と姉妹都市のデンマーク、オーデンセ市生まれの作家がアンデルセンというところから来ています。36.7万平方メートルという敷地面積、一度では全てを経験できませんので断定はできません。しかし、おおよそこういうことなのではないか、という私なりの感想です。独自化路線や他社との差別化を模索する経営者にとっても参考になることが多いと感じました。
人気の秘密のひとつにはまずこの広さが揚げられます。 東京ドームでいえば約8個分です。TDL、富士サファリパークがおよそ10個ちょっと、大体の広さが伝わるでしょうか。市が管理運営する公園としてはかなり善戦しているといえるでしょう。そうなるとその広大な敷地を整備するればするほどコストがかさみます。すると入場料が高くなり市民の憩いの場ではなくなってきます。そこで出てくるコンセプトが自然との共生。案内には「緑の中を楽しんでいただけるよう園内には多くの自然が残されています。足元の木の根や切り株などにご注意ください」という但し書きがあります。自然を残せば多少の危険も想定内ということでよろしく、という考え方。TDLの「全てに優先するのが安全」というコンセプトの間逆ともいえます。
公園の中央には広大な池があり、その池をまたぐようにメインストリートともいえる橋がかかっています。その橋から見ると池の右半分はボート乗り場として綺麗にされていますが、逆側、池の左半分は水草が生い茂っています。自然ともいえますし、コストを抑えているともいえます。こうしたよい意味の経費節約があちこちに見られます。
2番目の特徴は手作り感。園内にある子供美術館ではこどもたちに何かを作らせたりするワークショップが楽しめます。陶芸、料理、版画、染物、工作など。少ない人数のスタッフが受付と指導にあたっています。動物触れ合い広場もポニー乗馬のほかは小動物との触れ合いが中心。餌代含めた管理は比較的楽といえるでしょう。
3番目の特徴はとにかく「ゆるい」こと。TDLのような完成されたマニュアルも洗練されたホスピタリティもありません。ゴミがあればスタッフが飛んでくるような機敏さもありません。それでいて適当にやさしい、そのバランスが居心地よいといえば伝わるでしょうか。適当にほおっておいてくれるような開放感があります。お弁当持参でビニールシートを広がられるおおらかさが気持ちよいともいえます。天気がよければ近場に住んでいるファミリー,それこそ小さな子供のいる家庭にとっては日常的に利用できる憩いの場といえます。
最後にすばらしいのがコストパフォーマンス。入園料大人900円、小中学生200円、4歳以上の幼児100円。別途費用がかかる有料施設もせいぜい100円~300円。食べ物持込んで一日遊んでこの価格は市民の強い味方といえます。
難はアクセスですね。さほど便利とはいえない場所、最寄り駅の新京成線、美咲駅までは遠いとは感じませんが、駅から公園に行くバスの本数が少ないのです。公園に行くバスが1時間に1本2本程度ということは地元のための公園ということもあり、基本的にはマイカーで行く場所なのでしょう。
天気のよい週末はかなりの渋滞が予想されます。そういう日は園内も相当混雑することでしょう。それでもコスパのよさに支えられて君臨するふなばしのテーマパークは独自の輝きを放っていました。気軽に楽しめる 気分転換が出来る 何度でもいける という気楽さに加えて園内の飲食、お土産、そしてデンマークを連想させてくれる風車や建物も素晴らしいデザインで充実しています。私が行った日はイベントで全国レベルの船橋東高校 吹奏楽部のレベルの高い演奏を聞くことができました。地域密着型テーマパークならではの素晴らしさを満喫できました。
他のテーマパークや公園と戦っていない感じの独自路線がまずあり、広さ、開放感、園内のアトラクション、コストとのバランスが絶妙さが際立っています。意図してつくられたというより自然に出来上がったバランスという気もしますが、「適当なゆるさ」の極みといえるかもしれません。
過剰なサービスに溢れた昨今、この中間的な感覚はとても新鮮に感じられます。数々の楽しさと学びがありますので、秋の行楽のつもりで体験してみるとよいと思います。
上記の記事は弊社の根幹となる哲学「喜びの帝王学」を基にしています。