電通の一件に学ぶこと、思うこと
長時間労働問題
電通の社員自殺を招いた長時間労働問題が刑事事件に発展する事態になりました。何度も是正勧告されたのに時間外勤務のごまかしをしていた中での今回の事件は根が深いといわざるを得ません。インタビューで社員が「外圧によってしか変われないことが情けない」という言葉を漏らしていました。この言葉一つとっても社員の会社への慢性的な不満が垣間見られます。と同時に社員は摘発を歓迎しているようにも感じます。
長時間労働問題は日本の社会では氷山の一角であることは明らかです。私自身かつて月に百数十時間の残業を半年間、体験しました。自分に環境を押し上げて労働環境を変える力がなかったから、という結論になりますが、そんな生活を半年していると肩も腰もカチカチに固まり、休日でも1度は会社に行かないと落ち着かないという状態になります。私は自分で歯止めをかけることができましたが、それ以上にストレスだらけの生活を余儀なくされている人がたくさんいるわけですから、有名大企業に外圧というメスが入ったことは大きな異議があります。
心の時代
ところで、1960年代は松下電器に象徴される大量消費の「量」の時代でした。それが1970年代はトヨタに代表される質の時代となりました。そして1980年代に入るとリクルートの台頭による情報の時代となっていきました。そして1990年代はマイクロソフトなど「IT」の時代の幕開けとなりました。そして平行して2000年に入るとあちこちで「心の時代」といわれるようになりました。
今ではAI、VR、IOTなどの先端技術系の横文字に触れない日はありません。情報が技術(IT)になって、更に進化の加速を増しだした頃から心身疲弊の材料が激増したのではないでしょうか。横文字が主流の、時期・時代が続けば続くほど「心」そのものに焦点をあてるべき時代もまた並行して続くことになります。心のケア、癒し、コーチング、禅、オンとオフ、ワークライフバランス、カウンセリング等などこれからますます重要になります。
人間の中心、体や活動の中心には常に「心」があります。心を鍛える、心を癒す、心を磨く、心を見つめる、心を分かち合う、心をひとつにする・・、こうしたことをさらに真剣に組織内で取り扱う企業がよい会社と評価されていくのでしょう。電通の一件は名が通っていればよい会社、やりがいのある会社、安心できる会社という概念を改めて覆しました。やっぱり・・という正体の暴露のようなものかもしれません。地味であっても心のケア、学び、成長等に対するメッセージ色を理念、社是、行動方針などに経営者自ら打ち出して、学びや対応を具現化する企業に光が当たる時代が始まったと感じます。知名度のない小企業も心にフォーカスして個性を打ち出すことで独自の社風、人材採用の可能性、感動カンパニー化を目指すことが可能になるし、またそうすべきだと確信しています。
心には実体はないので解釈は様々、だからこその難しさもありますが、多くの企業が率先して心のケアに対する考え方、扱い方、行動方針を打ち出すことで少しでも社会全体の構造改善、働きやすさ、やりがい等につながることを願っています。
上記の記事は弊社の根幹となる哲学「喜びの帝王学」を基にしています。