経営者が心に留めておきたいカルロスゴーン氏の「リーダーの条件」
私の履歴書から
ご覧の方も多いと思いますが、日産のカルロス・ゴーン氏が今年1月の日経新聞「私の履歴書」のコーナーを担当されました。1月30日のタイトルは「リーダーの条件」。文章の中でゴーン氏はルノー・日産・三菱のアライアンスにおける次の世代の経営陣を見据えていく中で、リーダーの条件について次のように記してます。、1)結果の出せる人、2)人々と繋がる能力のある人・・話のしやすい共感される能力を持っていること、3)新しいことを学ぶ姿勢のある人。
結果を出す力はもちろん、新しいことを学んだり挑戦したりすることも不可欠ですが、その中でフォーカスしたいのは2の「繋がる力」です。特にこれから発展を目指す小組織の経営者に是非知っておいていただきたい内容です。
繋がる力
ゴーン氏は、人々と繋がる能力について親しみやすさ、話を聞く姿勢に置き換えています。堅苦しさ、冷たさの印象では話を聞いてもらえない、部下の働く意欲も損なわれる、リーダーは周囲からリーダーだと認識されなければなれない、とも言っています。経営者でだからといって必ずしもリーダーであるとは限らないということかもしれません。
特に小さな企業の場合、社長が会社の中で最も営業力があり、存在感があり、全体像が見えていて視野も広い。すると営業を中心としたかなりの仕事を自分で抱えることになります。結果として、自分がいないとこの会社は回らない、ダメだと感じる→部下がやる気を出さないとぼやく→任せない→育たない、育てられない、という悪のサイクルになりがちです。
経営者が真のリーダーであるためにはここに着目する必要があります。この悪サイクルを改善しなければゴーン氏の言う繋がる力から遠くなっていきます。まずリーダーの意識を変えることが、小さな組織の発展に不可欠です。簡単なことではないですが「企業は人なり」、人を育てるとは時間をかけることであり、短気を起こさない我慢比べでもあると自覚しなけばなりません。
繋がる力の発揮
弊社の研修を受講され、10年で業績を10倍に伸ばした介護・医療関係の社長A氏いわく、「中小企業にはよい人材は来てくれないと考えるべき。ずいぶんいろいろ採用をしてきたが、結局、経験・知識のない学生を採用して一から育てたほうが早い。時間はかかるが結局早い。離職率も少なくなったし、素直でよい人材が採用できる」と熱く語っていました。この会社では毎年、狙った学生の85%を採用できる水面下の戦略が確立しています。それは一言で言うなら会社と学生の繋がる力を最大限引き出した結果です。「この会社に、この経営者について行こう!」という言葉を引き出した結果といえます。
繋がる力を別の言葉に訳せば、相手の心に刺さる能力のことであり、部下から見た時は「この人についていこう!」を言わしめる魅力のことです。そのためにできることは話を「聞く」から「聞き倒す」へのシフト、そして部下の意見をいかに吸収して部下の心を燃やす仕組みを作るかにあります。
少し大きな声を出せば全体に声が届く広さの社内であれば、こうした考えの浸透・具体化は時間は最小限ですむはずです。何万人もの社員がいれば時間がかかりますが、わずかな距離のなかに集約されていれば経営者の覚悟ひとつですぐに伝わる環境はあるのです。それを行う志を持つのがリーダーです。弊社が提唱する喜びの帝王学(ビジネス帝王学)は人育て、繋がる仕組みを作る実践の学問として多くの企業が活用されています。
上記の記事は弊社の根幹となる哲学「喜びの帝王学」を基にしています。