新人に伝えたいビジネスの原点
売り手と買い手の立場
「売り手」とは・・選ばれる立場、買っていただく立場であり、お客様に気に入られるために知恵を絞る、工夫することが求められる立場です。また「買い手」とは・・選ぶ権利のある立場、気に入ったところから買うことのできる立場であり、選ぶという行為以上に特別な努力は必要ありません。
新人は子供の頃から学生時代を通してずっと買い手の立場でものを見たり社会に接したりしてきました。その意味では「買い手としての思考」に慣れきっています。つまり、この商品は良い悪い、この店はどう、あのサービスはイマイチ・・などの「評論家の立場」に慣れてしまっています。しかし、会社に入った途端に立場は180度変わります。売り手の立場=選ばれるための努力をしなければなりません。
実はこのことはお客様に対する営業の範囲にとどまりません。社内には上司、先輩がいて、新人はその人たちからも選ばれなければなりません。同じ社内ですから接し方であまりに露骨な差をつけられることは少ないかもしれませんが、人には感情があり「好き・嫌い」という気持ちがある以上、可愛がられるかどうか、言い換えると可愛いと思える存在になることができるかどうかはとても大切なことです。ちょっとしたアドバイス、ちょっとした情報、ちょっとした宴席に声がかかるか等、気にかけてもらえる存在になれるかどうかは長い目で見ると大きな差となってきます。
人生は生れてから死ぬまで営業の連続といえます。まず目的があって、他人を自分の意図する方向へ動いてもらったり協力してもらったりするという意味ではすべてが営業となります。そういう意味では、人から応援してもらえるかどうか、応援したくなる魅力を持っているかどうかがビジネスパーソンとして飛躍できるかどうかの分かれ目ともいえます。
上司や先輩に食らいついて「教えてください」「あなたのアドバイスが欲しいです」を表現し、教えてもらったら「ありがとうございます」感謝してさっそく実践する、そして修正点をまた求める、経験のない新人の立場ではこの繰り返しができるかどうか。当たり前のようですが、このPDCAをきちんと回すことは慣れていないと簡単ではありません。
買い手思考から脱却できないでいると、そのうち「上司が・・」「指示の仕方が・・」「ウチの会社は」というネガティブなコメントがでてくるようになってきます。知識・経験のない立場でのこの発言には全く意味がありません。評価するのは自分ではないからです。居心地が悪くなって転職しても、この思考の傾向が変わらない限り、同じ不平不満を繰り返します。新人には癖がつかないうちに他人を中心に、正確には評価してくれる人を中心に感情で地球が回っていることを理解してもらうことです。
ビジネスは好き嫌いの感情で動いています。感情で情報が集まる、物が買われる、人脈がつくられている以上、新人は自分のちっぽけなやり方にこだわっている場合ではなく、好かれるための努力、選ばれるための努力や工夫の仕方を徹底して教えてあげなければならないのです。
上記の記事は弊社の根幹となる哲学「喜びの帝王学」を基にしています。