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社員を大切にする経営者の感性に学ぶ災害発生時の行動力

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社員を大切にする経営者の感性に学ぶ災害発生時の行動力

 

「平成28年熊本地震により、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます」

3・11の記憶がまだ鮮明な中でまた大きな地震が起こりました。私自身も1994年頃起きたロスアンゼルス大地震(マグニチュード7弱)を経験しました。自宅近くでフリーウエイの橋が崩落するなど大きな被害がでましたので地震は特にひと事ではなく、その度に何か伝えなければという思いに駆られます。

今回の話は3.11で被災されたひとりの経営者からお聞きしたものですが、地震が起こる度に思いだされ、私自身の教訓となっています。直接お役に立つものではないかもしれませんが、地震発生時のリーダー心構えとかあり方のようなものとして少しでも参考になれば、という思いで書かせて頂きました。

弊社のお客様でセールス革命研修参加者の「着物のたかはし屋」の9代目、高橋市郎衛兵様は3・11の朝、宮城県大槌町のショッピングセンター2階にあるお店(全4店舗)で朝礼を行っていました。「苦難福門」、「ピンチはチャンス」「全員の心をあわせてチームワークでがんばろう」、朝礼ではそんなメッセージを飛ばしていたようです。チームで心を一つにして仕事に臨んだその日の午後、地震に続く津波に襲われました。

お店が建物の2階だったため、商品への被害を免れたことは不幸中の幸いでした。しかし津波により、ショッピングセンターでの営業はおろか、町もお客様も失ってしまったのです。
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高橋社長は避難所で数日過ごした後、後ろ髪を惹かれる思いで一旦本社のある岩手県一ノ関市に帰るとすぐに行動を開始。社員でもある二人のご子息とともに被災したお店の従業員の安全確認と激励のため、わずかな救援物資を整えて、直ちに大槌町へ引き返しました。

車外に広がる壊滅的な被害を目の当たりにして言葉の出ない息子たちに対して言ったことは「この光景をよく目に焼き付けておきなさい」。現実を直視しなければ新しい歴史を起こすことはできない、そんな自分への戒めと励ましでもありました。

道中、リュックサックを背負った老婦人に同乗させてほしいと懇願されます。被災した町に住む仲間の安否を確認したくて、いても立ってもいられず行動を起こしたとのこと。高橋社長は快く迎え入れましたが、婦人が目差した目的地は到着した瞬間に人が居られる状態ではないことがわかり、車から降りることもなくそのまま車に乗っていたと言います。

高橋社長はスタッフの自宅を一軒一軒回り、励ましていきます。「心配するな、仕事はある!今は家のことに専念しなさい」そう言ってわずかな救援物資とともに一輪の花を手渡されていきました。心身ともに疲弊しきっている最中、経営者からいただく直々のメッセージと手渡しの一輪の花の可憐さがどれほど乾いた心に潤いをもたらしたことでしょう。たかが一輪、されど一輪。こうした心配りに真の感動経営を具現化するリーダーの実力と優しさを垣間見る思いがしました。社長自身も疲労のピークにあったことは想像に硬くありません。緊急車両優先という警戒態勢の中を説得し突破しながら、スタッフの安全確認を急ぐとともに一輪の花が持つ力を思いつき、その用意ができる経営者の心配りを忘れることができません。幸いスタッフ全員とその家族の無事が確認できました。一輪の花を渡されて涙を流された方もいたそうです。
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さて、すこし後の話となりますが、多くの経営者が店を失い、新店舗を求めて町から空物件がなくなってしまいました。高橋社長も同様です。汚れてしまった着物のメンテナンスを請け負う場所すらない、という状況でした。困った状況の中、声をかけてくれたのが同乗された老婦人です。車の中から従業員の家を丁寧に回って花を手渡す高橋社長の姿を見ていた女性は「この人になら」と、ご自身の所有される建物を貸してくださったのです。その広さも場所も高橋社長にとってはこれ以上ないほど最適といえるものでした。

高橋社長の心配りと行動から、そのお人柄を信用されたこの老婦人は、実はある著名な作家のお姉様で、しかもその作家は高橋社長が日頃から愛読されている方だったそうです。偶然では片付けられないほどの奇跡的な偶然です。このご婦人のお申し出により高橋社長はまた壁を乗り越えることができました。

目の前にあるのは壁ではない、扉だ。必ずどこかにドアノブがある」これは高橋社長が好まれてよく使われる座右の銘でもあります。高橋社長からは色々な苦境をバネにして幸運に変え、飛躍をされた話をお聞きしています。スタッフの家を丁寧に回る、一輪の花を添える、老婦人を車に乗せる、それぞれは関係がないことのように思えますが、偶然はなく一本の線でつながっていくようにも思えます。

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軸をぶらさず常に、感謝・感動・喜びの心を磨き、人に与え続ける・・こうした道の延長線上に、思いがけない喜びが返って来たり、成長が図れたり、予想しない運が巡ってきたりしていくのかもしれません。いつ自身の身に起こるかもわからない災害・・その時どう動くかは常に各々の立場で試されているのかもしれません。

稚拙な文章になりましたが、行間から何か感じていただければ幸いです。苦しい状況・環境の中でこそ問われる人間力・・、人に「与え続ける」、その心を前進させていきたいものです。

 

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