売上10億を目指す社長が抑えておくべきアクシデントからの学び
10億の壁
会社経営には「10億の壁」という言葉があります。夢・志を持って起業します。営業をがんばって数字を起こし軌道に乗せます。軌道に乗り始めると、人を増やして営業を育てたり、内部を固めたり、販路を拡大したりと様々なところへ目を配らねばならない時期がきます。その都度、起こる初めての事態や問題処理を肥やしにしながら強い企業体質へなっていくわけですが、その一方で自社に対する自信や慢心が芽生え始める時期でもあります。規模も同じような企業が経験したアクシデントは参考になることが多いと思い事例としてご紹介します。
地方に本社のある鞄やランドセルの受注製造販売を行うA社はその世界では高いブランド力を誇っています。その知名度、人気に支えられて東京出店を果たします。都心の一等地に2箇所にショールームを構え、連日にぎわっていました。ランドセルは4月の新学期に合わせて年が明けてからの納品となりますが、製造時期を逆算すると注文受付開始は半年前の6月辺りとなるようです。
この注文開始の前日、店内は下見客でごった返し満員電車のようだったと聞きます。ランドセルという商品はデザインや質にこだわらなければ年が開けてからでも、恐らく大手スーパーでも買える商品です。しかし少子化の昨今、子のため、孫のために値段がさほど変わらないのではれば、かわいらしい、おしゃれなものを買ってあげたいという親御さんの思いが集中することは仕方のないことかと思います。
いざ販売が開始されると、ネット受付開始直後からアクセスが難しくなり、ほとんどの人気商品は瞬く間に売り切れ、サーバーはダウン、その後一切つながらないという状況になりました。ショールームでも販売されていたのですが、数時間待ちの行列が出来たといいます。
結果として、期待が高まるだけ高まって、手に入れることの出来なかったお客様から大変な怒り、膨大なクレームとなったようです。わざわざ下見に店を訪れて商品の確認までしているわけですから、こんな事態になろうとは誰も考えていません。お店側もそうした可能性の対応はしていなかったようです。大混乱となり、2つあった東京のショールームは体制建て直しという名目のもと、休業を余儀なくされています。東京で高い家賃を払いながら大騒ぎと大クレームを引き落としただけの事態となってしまったのです。限られた数しか生産できない季節商品を扱うお店は何を読み間違えたのでしょう。
行列に並んだ人の声にもそのヒントが伺えます。その方は行列に並びながら整理券すら配らないお店の対応に疑問を持ち、店の人に聞いたそうです。駐車している車の精算やらトイレのこともあるので、行列を少しだけ離れたいときはどうすればよいのでしょうか?と。するとこんな答えが返ってきました。「大丈夫ですよ。また後ろに並び直していただければ問題ありませんので・・」
お客様に喜びを
1人の店員の発した言葉ではありますが、この意識のズレこそ騒動を引き起こした正体のひとつではないでしょうか。高いブランド力は努力の賜物ですが、その一方で足を運んでいただくお客様の気持ちを置き去りにしてきた感が否めません。ブランド力が確立すると市場に歩み寄るという気持ちや、お客様に喜びを与えるという商売の原点をどこかに置いてきてしまったのではないかと思えてきます。
この経験をバネに体制を立て直し、今後、顧客満足度の高い企業として輝いて欲しいものです。お客様の心にどれだけ寄り添えるかは企業発展の絶対中心軸です。そして真のブランド確立、あるいは老舗になれるかどうかの分岐点となるはずです。
上記の記事は弊社の根幹となる哲学「喜びの帝王学」を基にしています。