9割の社長が望んでいるもの・・中小企業発展のカギ
幹部育成
前回、No2が育たないと嘆く社長へのアドバイスを書きましたところ、多くの方からレスポンスを頂きました。いかに社員教育、その中でも幹部の育成に頭を痛めている経営者が多いかがいえると思います。もっとも望むものは何か?という経営アンケートを実施したところ、90%の経営者が幹部の実力アップを望まれたこともあります。というわけで今回もこの辺りを少し掘り下げてみたいと思います。
このブログを読んでいただいているのは売上10億を目指す経営者、という設定です。そのような規模の会社は常に人材不足といえます。いい人がいない、幹部が育たない・・社長の口癖が毎日のように聞こえてきます。
企業発展のカギはNo2にある、とよく言われます。このことは言い換えると、企業の発展は経営者と幹部の意思疎通にあり、ということにもつながります。営業No.1である社長はあらゆることで自分が一番力があり、物事も見えているので、つい自分で手を出してしまいがちです。「任せきれないから、そうしているんだ!」という嘆きも聞こえてきますが、企業が成長していく段階のどこかで考え方をシフトしなければエンドレスとなる事もまた事実です。
さて、零細企業→小企業→中企業へと発展させていくには、そして安心できるNo2を育成するには社長の考えをよく理解していただく必要があります。そのためには少し時間を割いてコミュニケーションを重ねることですが、社長も忙しいのでこの辺りが疎かになりがちです。このコミュニケーションの時間を確保することが難しいとなる場合は日報を上手く活用することです。
日報の活用
ところで、どこの会社でも行っているアタリマエの日報とはどのようなものでしょうか。その日の業務の羅列、特筆すべき事項の記入、明日の行動予定などでしょうか。日報もまともに提出させていないという会社もけっこうあります。社長が中身をチェックする時間がないので当然フィードバックもない、幹部も社長の行動を常に見ていますので、社長がまともに見ていないとわかると手を抜いてもOKという判断になります。また見る人がいなければやる気もなくなるのでやがて書かなくなります。そしてコミュニケーションが不足し何を考えているかわからない、自分のいいたいことが伝わらない、という矛盾のサイクルが確立されます。それが10名以下の小さな組織の実態です。
日報というのは本来は自分のために作成するものですが、それすら教わっていなければ当然の結果かもしれません。まずは社長自身が不退転の決意で日報に目を通すという行為を習慣化してみてはいかがでしょうか。
そして内容ですが、いままで過去=結果管理でしかなかった日報を「楽しくする」のです。まずは未来=目標管理のものに変えます。このようにしたらこうなった、このお客様はこう言ったの世界から、今回こうだったので次回このようにする、という予定や戦略・具体策を「社長ならどのように考えるか?どのような手を打つか?」という発想を通して記入させていくことをオススメします。社長になりきったつもりで「社長ならこのように考えてこういう手を打つはずだ」という思考を習慣化していくのです。
日報を見た社長は実際に自分であればならどうするかという答えを示さねばなりません。これがコミュニケーションの始まりです。「俺の考えが伝わらない!」と嘆くのではなく、こうした仕組みの中でコミュニケーションを重ねていくのです。作成の時間を幹部にも取らせますが、自分も読んで修整をいれる時間を確保しなければなりません。大変なことでもありますが、長い目で見れば最優先事項の人材育成戦略といってもよいでしょう。幹部だけにさせるのではなく自分自身も磨くことが重要です。
そして2番目に社長の言葉を研究する習慣をつけます。社長は毎日様々な形でいろんなメッセージを放たれているはずです。または訓示をされているはずです。そうした言葉や日常の何気ない言葉にフォーカスして「これはいい!」という言葉に目を光らせて、耳を大きくさせて、毎日その言葉の中身や深さを研究させるのです。社長はこのようなメッセージを伝えた→この意味を紐解くとこういうことであろう→これを日常で活かすにはこうしてみよう、といった具合です。それを日報に記していくことで社長の金言がたまっていきます。それが社長の考えを理解するということにつながっていきます。社長自身もなるべく伝わりやすいコトバや内容に噛み砕いて話すように意識していくはずです。これが互いに教育しあうという行動でありコミュニケーションの基本となります。
こうした工夫や努力をしないで幹部がわかってくれないというのは社長の思い違いといわざるを得ません。その組織で一番の実力者は社長自身なので、その社長の頭の中を理解してもらおうとするならそれなりの努力と工夫が必要となるということですね。
自分よりも優秀な人材は引き止めることは出来ません。そういう意味では1を聞いて10を知るような優秀な幹部はやがて辞めていく可能性もあることを意識しながら幹部は社長自身が手塩にかけて育てていく、という気概と愛情を持つことが大切です。
小さな会社には優秀は人材は来ない、自ら育てるしかない、と覚悟を決めた会社は強い、そんな事例をたくさん見てきました。参考になれば幸いです。
上記の記事は弊社の根幹となる哲学「喜びの帝王学」を基にしています。