知っていても中々できていないビジネス基本動作
随分昔の話で恐縮です。銀座のあるクラブで 「私、インタビューされるのが好きなの」 という女性経営者がいました。 色々聞いてあげると本当に気持ちよさそうに 長々とお話してくれました。そして、お店はあっという間に無くなりました・・。
お客様の多くはなぜこうしたお店に通うかといえば自分を主役にしてもらいたい、話を聞いてもらいたいから通っていると思います。「すごいね」「すばらしいですね」「あなたのお話もっと聞かせて」と言われたくて只管お金を払っているといってもいいでしょう。自己肯定感とか、承認欲求を満たしたいわけですね。
対話は話すよりも聞く方がエネルギーが要ります。特に自慢話の類は聞くのも疲れますね。そんなこと言われなくても分かっている・・という方もいると思います。しかし、多くの人が頭ではわかっていても、なかなか人の話を聞くことができていないものです。特に経営者という立場になるとつい話してしまうのではないでしょうか。
最近「VIVANT」という番組が大人気ですが、人気俳優の堺雅人さんが以前取材で素敵な言葉を使っていました。調整型である自分は自己主張を一方的にするのではく「聞く」ことを大切にしている、「話しあい」ではなく「聞きあい」が大切・・といった内容でした。 すぐれた才能を開花される方は 聞くことに長けているのかもしれませんね。
感動経営革命の「人育て」の教えの中に次のようなものがあります。世の中に「話し方教室」はあるが「聞き方教室」はない、 そして、 聞くことの重要性を掘り下げていく中で 「言い負かす」から「聞き負かす」へ、 という表現がでてきます。 簡単そうに思える「聞く」という行為の 難しさと大切さが説かれています。 交流会の場で相手に強い関心を持ち、 いろんな質問をしながら 夢・目標やビジネス上の懸案まで聞かせてもらえたら 人間関係含め、その後のいろんな展開に つながる確率が高いと実感しています。 競合がたくさんいる業界であればあるほど、 「この時を逃すまいぞ!」 とばかりに名刺をばらまいて「話し倒す」のではなく 一所懸命に「聞き負かす」ことが活きてくると思うのですが。
「聞く」という言葉を別のコトバに翻訳すると・・ 「私はあなたにとっても関心があります」 となります。そして「話す」というコトバを翻訳すると・・ 「私にもっと関心を持ちなさい」でしょう。 魅力はやはり・・前者です。
会話はもちろんバランスよさが大事です。アウトプットすることも大切であることは間違いありません。しかし「聞く」は・・「効く」→「効いてくる」 「話す」は・・「離す」→「離れていく」を意味していると考えるといかがでしょう。