「何度言ったらわかるんだ!」と怒鳴りたくなる上司への2つのアドバイス
人は何度言ったらわかるのか?
日々、同じ部下と顔を突き合わせて仕事していると、よい面よりもそうでない面が目立って見えます。「何度も注意するが直らない」、「なかなか成長しない」というのはよく聞くことです。一体どれくらい言えばわかってくれるのでしょうか?
立場は違いますが、これを実際に調べたのがビリギャルを慶応大学に合格させたことで名を馳せた坪田信貴先生。坪田先生は何回教えれば生徒がわかるのかスタッフと一緒に根気よく時間をかけて調査されました。でてきた答えは500回!だったそうです。根気が要りますね。企業ではなく教師と学生の関係ではありますが、学習能力を発揮するかどうかという点では組織においても同じだと思います。
5回~10回は教えたうちに入らない・・ということですね。「何度教えてもわかんないんだよな~」と愚痴をいう前に一体、自分が何回教えたのか、関わったのか数えてみてはいかがでしょうか?「たった30回しか伝えていないのか・・、まだまだだな・・。」そんな心境に慣れれば少しはイライラが解消されるかもしれませんし自分の器磨きにも貢献するかもしれません。
教育の大家、覚者の森信三先生は「教育とは流水に文字を書くような果てない業である。だがそれを巌壁に刻むような真剣さで取り組まねばならぬ」とも言われました。書いても、書いてもその場から消えていく文字、それでも真剣に書き続けるのが教育だそうです。心したいですね。「何度言ったらわかるんだ!」といいたくなったらこの言葉を思い出してみませんか。これが一つ目です。
否定語の世界
QMが提唱する「喜びの帝王学」にはワカッチャッタ世界の住民になるな、と言う教えがあります。この紐解きこそが二つ目のアドバイスとなります。これは重要なので今までもこれからも折に触れお伝えする機会があると思います。
ワカチャッタ世界とは大きく分けると2つあります。ひとつはちょっと見聞きしただけでそんなの知っている、わかっている、と考えてしまう底の浅い世界のことです。たいして考えもしないで理解したつもりになっている人は多々います。いいかえると横に広く浅く広がってしまう知識中心の世界。
そしてもうひとつは「そんなことやっても無駄だ」、「どうせできっこない」、「何を言っても変わらない」、とすぐ考えてしまう否定語の世界です。たいした思考も努力もしないで否定してしまうことは先に述べたような教育そのものをあきらめることにもつながります。知らず知らずのうちにこのワカッチャッタ世界の住民になってしまっていると、職場環境をも否定的に見てしまいます。徐々に侵食され、自分では肯定的なツモリでも傍から見てると否定的な思想の塊・・そんな人は案外多いものです。幹部の中にも表むきYES、見えないところではNO,文句ばかり言う人はいませんか?こうした考え方をしてしまう背景にあるのは下記のようなものです。
背景1
家庭・・人は成人するまでに14万8000回も自分の行動をとめる制限をかけられるような言葉を聞きながら生活しているそうです。「危ないからダメ!」「あなたにそんなことできるわけないでしょ!」「無理に決まっている!」「やめなさい!」こんな言葉のオンパレードは人をいつしか考えない行動しない体質にさせるのかもしれません。鎖に繋がれ続けたゾウが鎖を解かれてもその場を離れなくなるようなものでしょうか。
背景2
学校教育・・日本の16年間の学校教育はおよそ答えを探す教育が中心です。ディベート能力や創造性はさほど重視されていません。こうしたことの繰り返しは社会に出ても正解をすぐに求めてしまう習慣を作り出します。しかし、ビジネスにおける正解は自ら作り出すしかありません。 自分で模索していくしかないにもかかわらず、自分以外に答えをすぐ求めてしまう体質がしっかりとできあがってしまいます。
「何度いったらわかるんだ!」と言う言葉のメッセージの本質は「お前は何度いってもわからないダメなやつ」ということです。こうしたメッセージを発し続けていると部下は潜在意識の中に「自分は何度いってもできない人間」と言う意識を刷り込んでいくことになります。また上司自身も「どうせ何を言っても伝わりっこない」という意識を自分に刷り込んで言っているかもしれません。こうした否定語は自分にも部下にも「言ってもわからない」、「言っても伝えられない」そういう裏のメッセージを蔓延させているのではないでしょうか。
経済活動である以上、営業は一定の期間に成果を求められることは言うまでもありません。経営者、上司のあせりもジレンマも理解できます。給料を貰っているんだから学生とは違うんだ!という考えもそのとおりです。しかしその一方で教育というのはやはり時間がかかる、ということも頭の片隅に置かなければなりません。
「何度言ったらわかるんだ!」この言葉には様々な要素が内包されています。指導には忍耐力がいるということ、部下の自己重要感を落とさない工夫をすること、部下を信じる力を上司自ら養う必要があるということ、否定語の世界の住民になっているかもしれないということなどです。色々な掘り下げ・見方があることをご理解ください。
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